大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和26年(う)638号 判決

しかしながら論旨二について考察するに、原判決は事実理由第二として被告人は「昭和二十六年四月六日頃同市十三間町六十番地カフエーひかり事土屋きく方において同人に対し脱脂乳を混入した乳脂肪分約二、二%の(一)人の健康を害う虞ある乳にして且つ(二)法定の成分規格に合わない乳一合を市乳として代金十円で販売した」旨判示し、法律理由において「被告人の判示第二の所為中(一)の乳を販売した点は前示衛生法第四条第四号の規定に違反し同法第三十条第一項前示措置法第二条に(二)の乳を販売した点は前示衛生法第七条第二項昭和二十五年十月十六日厚生省令第五十八号、乳、乳製品及び類似乳製品の成分規格等に関する省令第三条の規定に違反し同法第三十一条第一号前示措置法第二条に該当する」とした上「判示第二の(一)、(二)の乳を販売した所為は一個の行為にして二個の罪名に触れる場合であるから刑法第五十四条第一項前段第十条に依り重い前者の刑に従い云々」と判示しているのであるが、右判示の乳が脱脂乳を混入した為め食品衛生法第四条第四号にいわゆる「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により人の健康を害う虞があるもの」となる事実は原判決挙示の証拠並に記録に現われている全資料によるもこれを窺い難く、却つて食品衛生法並にその附属法規の規定内容に原審証人三森俊一の供述記載を照合して考察すれば脱脂乳は単に有脂乳に比較して栄養分において些少劣るのみでミルクコーヒなど保存乳製品の加工原料として普通に使用せられる無害の有益物であることを認定しうるのである。故に原判決が判示脱脂乳を混入した乳が人の健康を害う虞れあるものと認定して右挙示の法規に問擬したのは証拠によらないで事実を認定した違法があるものと云うべく同違法は判決に影響することは明らかであるのでこの点において原判決は破棄を免れない。

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